コラム
社長の人生、社長の瞑想室
2024.12.20
いつも瞑想サロン精神と時の部屋をご利用いただき、誠にありがとうございます。
2024年も、あとわずかとなりました。今年は皆様にとってどんな1年でしたか?
わたくしにとりまして、今年は長年抱いてきた心のなかの構想を形にした年になりました。
この構想は、わたくしが26歳のときに亡くした父の人生を思い抱きました。
この瞑想サロンを生み出すまで30年、誰に言うこともなく胸に秘めてまいりました。
ここから少し長くなります。この先はご興味のある方だけ進んでください。お時間の無駄になりませんように。
わたくしの父は、不動産を扱う会社の経営者でした。経営だけではなく、自ら家の図面を引き、職人の方々を統率して家を建築することもしました。
父の葬儀で、若い頃の父の友人だと名乗る男性が、大工の修行に北海道に行っていた当時の父の苦労話をしてくれました。
「あなたは、この話、お父さんから聞いたことある?」と、誰もいなくなった葬儀場で父のそばにいたわたくしに、そう話しかけられてこられました。
現代の男性なら耐えられないだけでなく、逆に文句を言うだろうと思うような厳しい男社会の修行を経てきた父の苦労を初めて知ったわたくしは、なぜ生きている間に苦労をねぎらう言葉をかけてあげなかったのか後悔しました。
現場の足場から落下したことを機に、身体も精神も限界を超えた父は自ら死を選んだのですが、お正月を過ぎて、いつもの日常に戻る平凡な時間のなかに突如訪れた父の死を、どうやって受け止め、どう乗り越えたのか覚えていません。
ただ、ひとつ覚えているのは、これから空の旅に出る人々の少しばかり興奮した陽気のなかで、一人ベンチに座りながら成田空港の滑走路を見ていた自分です。
なぜ空港に行ったのか、それさえ記憶にありません。あるのは「どうしてこんなに綺麗な世界を見ないで逝ってしまったんだろう」と、滑走路のネオンを見て思ったことです。
父は、誰からも「社長、社長」と呼ばれていました。
しかし、「社長」であっても「エグゼクティブ」であっても「ディレクター」であっても「セレブ」であっても、何者であろうと裸になればただの人間です。
人間は、外側のアイデンティティを外された姿に人生を容赦なく突きつけられたとき、その人の本心が現れます。
どんなにその人が社会的に偉くても、見た目が綺麗でも、外面が良くても、お金持ちでも、人間の理解できる領域を超えた先には、太刀打ちできない人生経験があることを知りました。
父は死後1年間、毎日わたくしの夢に現れました。どんなに言いたいことがあっただろうと思います。
当時のわたくしは、エアロビクスインストラクターで、ヤンチャな26歳。自律神経失調症になっても仕事と夜遊びの両立はやめない大馬鹿者で、当時の父を理解するどころか真逆の態度でした。
父は、仕事では大成功をおさめましたが、家庭、男性、一人の人間としての幸せは、仕事とは逆の結果です。
一般に男性のアイデンティティーは、社会的に経済的に認められる成功ですが、これは麻薬のような刺激です。決して永遠のものではありません。
いつ、その刺激を奪われるかは神のみぞ知るということです。父は、奪われたときの自分を準備していなかったのです。
父が生きた時代は、現在のように自分と向き合うこと、ヨーガ、瞑想、癒しといった精神的なことは皆無でしたから当然でしたが、今思えばあまりに人生に対して無防備でした。
父だけではありませんが、人間は突きつけられてはじめて「人生」と向き合い、智慧を必要とするのかもしれませんね。
人はいつ、これまで当たり前だったことを突然奪われるかわからない。神のみぞ知る領域が人生にはあります。
ここには書ききれないほどのことが父の人生にはありましたが、娘のメガネを外して一人の男性として客観的にみたとき、あの男性の抱えた心と身体、精神の苦しみを、支えられる人間になろうと決めました。
「支える」というのは、気持ち的な支えるではありません。
プロとして、です。
プロとして支えるには、人間をとことん知らなければなりません。
人間を知るということは、自分をドリルにして知ることです。そこには、人間の人生にまつわるあらゆる苦悩を自ら経験して知るということが当然に必要になります。
苦しみは、机上で知れること、本を読んでわかることではないため、自らの感情、神経、内臓、筋肉、脳、皮膚を使って味わっていかなければなりません。
このとき、苦しみに溺れては研究どころではなくなります。苦しむ一方で、客観的に自分の身体の状態、心の動き、他、言葉にできない内面の変化を観察しながら苦しみと痛みの違いを分析します。
自虐的に聞こえるかもしれませんが、自分が決めた「プロ」になるためには必要なことだと直観的にわかっていたので、できたことです。このことを悟っていなければ、痛みに弱いわたくしは到底耐えられませんでした。
社長を続けるということは、誰にも言えない悩みを抱えることと引き換え、孤独です。
その立場にならないとはかり知れない悩みが社長のステージにはあります。同じ会社の仲間にも、もちろん部下には当然言えないことです。家族ならわかるかと言えば、そうだとは言い切れないでしょう。そのくらい孤独を味わっていかなければなりません。
しかし、そうは言っても社長も人間です。社長としての悩みだけでなく、人生の課題も、人間としての苦悩もあります。ですから、三重に苦しみを背負うわけです。
そして、社長でも人間である以上、時期がくれば経験していかなければならないことがあります。
それは、意識の拡大、意識の進化と言われる人間の認識範囲が広がる時に付随する心の葛藤、精神的な苦しみ、身体の変化にまつわる苦痛です。
人間は、この苦痛を生涯にわたり経験しながら進化していく存在です。
なぜなら、子どもの頃、乳歯から永久歯に替わった経験をしませんでしたか?乳歯が抜ける時期になると歯が黒ずんで「みそっぱ」と言われる歯になって抜け落ちましたでしょう?骨が伸びていく成長期に痛みが伴いましたでしょう?
こうした身体の変化であっても痛みが同時進行するのです。心、精神、意識といった目に見えない部分の変化、進化にも同然に、身体以上に起こります。
父には、その時期が訪れていたのです。今のわたくしなら、わかります。
社長という立場になると、他の誰よりも自分のことに時間を費やす機会はなくなるばかりか、頭のなかは終始、仕事のこと一辺倒になります。
この状態を、わたくしは人生の危機だと思っています。
なぜなら、重複しますが、社長であっても、精神的な変化、進化の時期が訪れたら、そのとき自分ではわからない精神的葛藤、身体の変化を体験していかなければならないからです。
社長は、終始仕事のこと、抱えている社員のことを考えています。しかし、同じ時間にあなたの部下は自分と向き合う時間をとっているかもしれません。
社長が部下のことを考えている同じ時間に、自分と向き合っている、瞑想している、ヨーガをしている部下がいるのです。
人生には、社長も部下もありません。その時期がくれば、容赦なく変化することを突きつけられます。「社長で忙しかったから後でね」という猶予も待ったもありません。
変化を妨げるものは失っていかなければなりませんし、心であろうと身体であろうと、物理的なことであろうと、進化の妨げになるアンバランスな要因は乳歯のように奪われます。
このとき、変化に対する何の知識もない、身体の準備もしていない、自分と向き合う時間もなかった社長はどうなりましょう。
「どうしてこんなことが自分に起きるのか?!」と言った無知な頭の叫びから嘆き苦しむことになります。毎晩、毎晩。
社長の三重の苦しみと孤独の上に、さらに、抗えない人生の苦しみがのしかかるのです。
世の中には、このような社長が多いはずです。
わたくしは、このような社長が一人でも減って欲しいのです。
日本の経済発展をになう社長、起業家、個人事業主、そして、生命に接する医師。
このような職業の方々に瞑想を覚えていただくために、瞑想サロン精神と時の部屋をつくり上げました。
なぜなら、予想外のことが起こり得る環境には、経験値から考え判断する認知力では太刀打ちできないことが多々あるからです。
予想外のことが起きたとき必要な態度は、即座に心を落ち着かせられること、客観的に主観の想念や言葉を捉える意識を失わないこと、自律神経をコントロールできることです。
その上で、直観的なものの見方ができなければなりません。答えのないところから答えを引き出す能力です。
そして、目の前の状況から、過去と現在、未来を理解できる認識力。これらは、訓練すれば開発できます。
背負っている責任が大きい立場の人、生命という責任に接している医師、下に大勢がいる組織を率いるリーダー、社長、トップ、このような立場の方こそ必要な高度な精神的能力です。
精神世界の知識の真価は高級な学問であることです。人の上に立つトップの方であればあるほど高級な学問は必要です。
社長の手腕を高めるためには、いつも接している同じ世界で高めるのではなく、あなたの周りの人が見ていない景色を見ることです。
一段上の精神の世界で己の精神を磨き、体を洗練させるのです。そうして磨きあげた能力を、ビジネスの世界に具現化するという美しい方法で競合と差別化することを薦めます。
あなたの部下が利用するような場所で瞑想することもお勧めしません。同じレベルになってしまうからです。
あなたの部下が行かないような場所で自分を磨き、あなたの部下の手が届かない品位あるもので自分の品格を高め、潜在能力を目覚めさせます。
そして、誰にも言えない三重の苦しみを安心して話せる場所を手に入れてください。
そうして、トップのカリスマ性と魅力、人財力を養うのです。
全身全霊に精神という高級なパワーを蓄えて、あなたの戦場へ戻っていかれてください。
そこで、あなたは弱みを見せる必要はありません。
社長の本当の仕事は、人間的に、精神的に輝くことだからです。
あなたが輝いて周りに良い影響を与えることが社長の務めです。
自他ともに成功し発展して、日本社会を活性化して新しい時代を築き上げる一人になってください。
わたくしは、社長のあなたをここまでお支えできるよう30年かけて自分の潜在能力を開発し今のわたくしになりました。ここまでの年月を耐え忍んだ原動力は、あなたと同じ社長であった父の死です。
父が造った地下の瞑想ルームは、別名「社長の瞑想室」。社長が社長であり続けるために精神的パワーを充電する社長の聖地です。
社長のあなたが、誰にも知れず、そっと訪れていただけるよう、静かにお待ちしております。