コラム
瞑想サロン「精神と時の部屋」が生まれるまで第5話
2024.11.04
シリーズでお届けしております精神と時の部屋の誕生ストーリー。
本日は第5話になります。
湿気の季節が終わり今日のような秋の陽気になると、脳裏にインドがよみがえります。
北インドのリシケシは、9月から今ぐらいにかけて最も過ごしやすく観光シーズンになります。
狂ってしまいそうな暑い夏を過ぎると、どこもかしこもヨーガの観光客でいっぱいになりました。
それでもやはり北は北。
朝と昼間の寒暖差が10度以上ありました。
朝方ヒマラヤから吹いてくる風は、不思議と午前10時になるとピタッと止まりました。
朝のヨーガを終えると、太陽が上ってくるのに合わせて洗濯をします。
粉の洗濯剤を使って手洗いです。
ダブルベッドのシーツを手洗いすると指の皮が剥けました。
あたり一面山に囲まれたゲストハウスの屋上で、洗濯物をパンパンと叩いて干します。
あちらの屋上でもインド人女性がサリーを着て洗濯物を干しています。
ふと下を見るとインドの子どもと女性たちが牛のようにゆ〜っくり歩いています。
当時のリシケシには、日本にあるような便利なもの華やかなもの、美味しいものは何もありません。
でも、なぜこうも満たされた穏やかな女性になれたのでしょうか。
きっとそれまでのアイデンティティを手放して生きていたからなのでしょう。
人は、仕事や家庭での顔を長く続けているとそれがアイデンティティになります。
その人格が生き方の軸になりすぎると、切羽詰まったような先の見えない感覚から不安が生じます。
代表は、インドで暮らすことを決めたとと同時にヨガインストラクターの仕事を辞めました。
その人格からではない一人の女性になってヨーガを知りたかったからです。
知ったつもり、学んだつもり、教えているつもり、よけいなプライドを外してヨーガを学びたかったのです。
インドの生活は、冷蔵庫はないから今日食べるぶんだけの野菜を買います。
ヨーグルトも食べるぶんだけをビニール袋に入れてもらいます。
そして、バスマティライスを炊きます。
当時のインド人のパートナーに、お米の炊き方が上手だねとほめらたことが嬉しかったです。
ライスもダル(豆スープ)も、インドカレーもたった一つの圧力鍋で作りました。
カレー作りも上手になり、インド人のお嫁さんになれるなと思ったのも前世の思い出になりました。
インドでは停電は日常生活の一部だから、腰まである長い髪は太陽の熱で乾かしました。
部屋にいると遠くの方から幼稚園の子どもたちのマントラが聞こえてきます。
テレビもなく現在のようにスマホもないから、写真を撮ることに追われる必要もありません。
夕方になったら瞑想のクラスか、ガンジス河の岸辺で行われるアラティ(儀式)へ行きます。
もともと代表はインドに興味があったのですかというと、ゼロです。
アウトドアではなくインドア派、キャンプよりホテルでお茶を優先します。
そして、虫が大の苦手。
旅行でも行こうと思ったことがないインドに、なぜ行ったのか。
第3話に明かした二つの道のはざまで悩んでいたとき「インドに行け」と指針がわいてきたからです。
それから3ヶ月後には南インドのヨーガアシュラムにいて、そこで1ヶ月暮らしました。
アシュラムでは、自分ひとりで本を探して読んでいるだけでは知り得ない智慧を学ぶことができました。
「あぁ、生まれてやりたかったことはこれだったんだ」と感動して目を潤わせながら教室の外をみたとき、
ひらひらと青く光る蝶が横ぎっていきました。
アシュラム生活最後の日、全カリキュラムを終えて自分の部屋に戻ろうと小道を歩いていると、
足もとに小さな冊子が落ちていることに気づきました。
それを拾い上げて見ると、この後に計画していたアシュラムのある街のガイドではありませんか!?
表紙には「ようこそ!」と書いてあります。
なんという偶然でしょう。
二つの道の狭間で迷いながらも、目の前のサインから自分の道を定かにしていくことができました。
青い蝶、街のガイド、リシケシで40歳の誕生日を迎えたことをサインとして受けとめました。
サインには、これをやったら成功する、こうすればこれだけ稼げるといった、その気にさせることは何ひとつありません。
使命と情熱に気づかせてくれるだけです。
帰国後、ヨガインストラクターの仕事には戻らず、港区の小さなお寺でヨーガ教室をはじめました。
今から16年前のことです。
第6話に続く
瞑想サロン精神と時の部屋
瞑想サロン精神と時の部屋は、ラージャ・ヨーガに基づいた科学的なアプローチによる脳と心のトレーニングを指導しています。40歳以上の大人に瞑想を啓蒙することで認知症の予防を、ビジネスリーダーのメタ認知力を高めることで日本経済を活性化することをミッションとし、日本のQOL、ウェルビーイング向上のために活動しています。
所在地:会員制のため住所非公開
代表者:畠山 桂子
設立:2024年10月17日
URL:https://sprit-time-room.com